胃食道逆流症(GERD)

前回までは、消化性潰瘍治療薬として、酸分泌抑制薬と防御因子増強薬を見てきました。今回は、病態として、胃食道逆流症(GERD)について触れます。

 

日本人で、1000例以上を対象とした研究でびらん性GERDの有病率は平均すると約10.5%と言われており、増加傾向です。

 

 

◆ポイント◆

①GERDはLES圧の低下により起こる。

②GERDが疑われ、内視鏡検査を行っても、粘膜障害が認められない場合(NERD)もある。

③生活習慣の改善と薬物療法が治療の基本だが、再発を繰り返しやすい。

 

①GERDはLES圧の低下により起こる。

食道の下部には、LES(下部食道括約筋)があり、胃内容の逆流防止に重要な役割を果たしています。胃食道逆流症(GERD)とは、食道裂孔ヘルニアや肥満等により、LES圧が低下(弛緩)することで、胃内容が食道に逆流して、胸やけや呑酸などの症状が生じます。ただ、胸やけと言っても、個人間で具体的な症状が異なるため、診断がつきにくく、専用の問診票等を用いて行われることがあります。

 

②GERDが疑われ、内視鏡検査を行っても、粘膜障害が認められない場合(NERD)もある。

GERDを疑われる症状を有する患者には内視鏡検査かPPI投与等が行われます。内視鏡検査を行って、所見が見られる場合もありますが、内視鏡検査を行っても粘膜障害が認められない場合もあります。このように強い自覚があっても内視鏡検査で粘膜障害が認められない場合を非びらん性GERD(NERD)と言い、やせ型の女性に多い疾患です。

 

③生活習慣の改善と薬物療法が治療の基本だが、再発を繰り返しやすい。

GERDの治療は生活習慣の改善とPPI(第一選択)の薬物療法が基本です。PPIは原則8週間投与ですが、再発再燃を繰り返しやすく、実際にはそれ以降も服用することが多いです。

 

 

※上記内容は記載時点での情報です。情報を使用する際は、最新の添付文書等で常に確認してください。