過活動膀胱治療薬①:ベタニス

今回からは、過活動膀胱(Overactive Bladder;OAB)治療薬についてまとめていきます。

過活動膀胱は、男女問わず、加齢に伴い、有病率が増加する疾患で、尿意切迫感を必須症状とします。

 

過活動膀胱治療薬は大きく分けて、抗コリン薬とβ3受容体刺激薬の2種類があります。

今回はまず、β3受容体刺激薬であるベタニス(ミラベクロン)について以下、まとめます。

 

◆ポイント◆

①膀胱の β3受容体に作用し、膀胱平滑筋の弛緩を促進して、膀胱容量を増大させる。

②生殖可能な年齢の患者への投与は注意。

③抗不整脈薬との併用は禁忌である。

 

①膀胱の β3受容体に作用し、膀胱平滑筋の弛緩を促進して、膀胱容量を増大させる。

まず、過活動膀胱治療薬はベタニスの前に抗コリン薬で治療されてきました。(抗コリン薬については次回触れます。)抗コリン薬は、作用としてはあるものの、口渇等の副作用の懸念があり、新しい治療薬の開発が望まれてきました。

そこで、このベタニスの登場です。

ベタニスは、膀胱の β3受容体に作用し、膀胱平滑筋の弛緩を促進して、膀胱容量を増大させ、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善します。抗コリン薬による副作用も抑えられます。

 

②生殖可能な年齢の患者への投与は注意。

ベタニスは抗コリン薬ではないため、抗コリン作用による口渇や便秘等の副作用はある程度抑えられます。しかしながら、警告として、生殖可能な年齢の患者への投与はできる限り避けるよう注意喚起されています。動物実験(ラット)で、生殖器系への影響が認められ、高用量では発情休止期の延長、黄体数の減少に伴う着床数及び生存胎児数の 減少が認められたためです。

 

③抗不整脈薬との併用は禁忌である。

ベタニスは、抗不整脈薬であるフレカイニド酢酸塩 (タンボコール)やプロパフェノン塩酸塩(プロノン)との併用は禁忌です。ベタニスや、これらの薬剤にはともに催不整脈作用があり、またベタニスのCYP2D6阻害作用により、CYP2D6で代謝されるプロパフェノン塩酸塩及びフレカイニド酢酸塩の血中濃度が上昇する可能性があり、QT 延長、心室不整脈(Torsades de Pointes を含む)等を起こす可能性があるためです。

 

上記内容は記載時点での情報です。情報を使用する際は、最新の添付文書等で常に確認してください。