前立腺肥大症治療薬①:選択的α1受容体遮断薬

今回からは、前回に引き続き泌尿器疾患で、代表的な疾患である前立腺肥大症治療薬についてまとめていきます。

まずは、良く用いられて第一選択薬として種類も豊富な、選択的α1受容体遮断薬についてです。

 

いま、選択的α1受容体遮断薬として用いられている前立腺肥大症治療薬は以下のとおりです。

・ハルナール(タムスロシン)

ユリーフ(シロドシン)

フリバス(ナフトピジル)

・エブランチル(ウラピジル)

・バソメット、ハイトラシン(テラゾシン)

・ミニプレス(プラゾシン)

 

◆ポイント◆

①α1受容体を選択的に阻害して、尿道平滑筋を弛緩させる。

②過度の血圧低下等に注意が必要である。

③α1A・α1Dの選択性にも各薬剤で違いがある。

 

①α1受容体を選択的に阻害して、尿道平滑筋を弛緩させる。

選択的α1受容体遮断薬は、前立腺α1受容体を選択的に阻害して、尿道平滑筋を弛緩させ、尿を出しやすくすることで、下部尿路閉塞を改善します。

 

②過度の血圧低下等に注意が必要である。

α1受容体は前立腺だけではなく、血管にもあります。細かく述べると、α1受容体には、α1A、α1B、α1Dの3つのサブタイプがあります。このうち、前立腺には、α1A・α1Dが、血管の平滑筋にはα1Bが主に発現しています。このサブタイプの選択性によって、前立腺肥大症を治療していても血圧が過度に下がることもあります。したがって、次の項目でも述べますが、α1A・α1Dに選択性の高い薬剤が、前立腺肥大症の薬剤として副作用が少なくて適していると言えます。

 

③α1A・α1Dの選択性にも各薬剤で違いがある。

ユリーフはα1A、フリバスはα1D、ハルナールはα1Aとα1Dの両方と、各薬剤によっても選択性は様々です。特にα1A 受容体は精嚢や精管にも分布しており、その遮断により、 精嚢・精管内圧の低下、収縮の抑制が生じ、後部尿道に精液が出てこない等の射精障害が副作用として起こる可能性があります。実際にユリーフには射精障害が起こる可能性があるとして注意喚起されています。

 

上記内容は記載時点での情報です。情報を使用する際は、最新の添付文書等で常に確認してください。