インフルエンザ罹患後の異常行動は、インフルエンザ治療薬が原因か?
はじめに
インフルエンザで、若い子供が異常行動を起こしてしまうというニュースが時々みられます。その後、「インフルエンザの薬を飲んでいたからだ!」となってしまうことがあったり、インターネットの記事で、あたかもインフルエンザの治療薬が原因で異常行動を起こしたような誤解を受けるようなものが散見されますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
インフルエンザ罹患後の異常行動は、薬の服用に関わらず起こるリスクがある
結論から言うと、「インフルエンザに罹ったら、インフルエンザの薬の服用に関わらず、異常行動を起こす可能性がある」ということです。
一時期、インフルエンザ治療薬のタミフルで、服用後に若い子供たちが異常行動を起こして、転落死する等のニュースが相次ぎました。そのため、2007年頃からタミフルは10代の患者さんには原則使用できない等の決まりが、医療従事者が確認する添付文書に記載されました。
ただ、元々タミフルと異常行動との因果関係が不明であったことと、その後の厚生労働省の継続的な研究で、タミフルを含めインフルエンザ治療薬の服用の有無に関わらず、インフルエンザ罹患後は、異常行動が起こす可能性があることが報告されました。
そのため、タミフルについては、安全には十分気を付けながら10代でも使用可能だとして、10代での使用制限が解除されました。
ただ、現在でも引き続き注意が必要です。どのような注意が必要なのか、具体的には以下の通りです。
異常行動による転落等の事故を防止するための予防的な対応
◆異常行動は
①就学以降の小児・未成年者の男性に多い(女性でも起こりうる)
②発熱から2日以内に発現することが多い
ことが知られています。
そのため、以下のような対策が必要です。
・玄関や全ての部屋の窓の施錠を確実に行う。
・窓に格子のある部屋がある場合は、その部屋で寝かせる。
・ベランダに面していない部屋で寝かせる。
・一戸建ての場合は、できるだけ1階で寝かせる。
これらの情報は厚生労働省のホームページからも閲覧できますので、確認してください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/pamphlet181207_01.pdf
まとめ
タミフルに関わらず、報道が一人歩きすることがあり、「薬がいけない」等の誤解を生む可能性はありますが、正しく理解して安全に十分気を付けながらであれば、適切に使用できます。分からないことがあれば、速やかに医師や薬剤師に相談しましょう。
~参考文献~
・タミフル添付文書
・厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)
※上記内容は、個々の治療方針や治療指針を促すものではありません。治療については必ず医療機関でよくご相談ください。