以前病院で処方してもらって家に余っている薬は、再利用できるのか?

 

はじめに

家の片づけ等を行っていると、以前に病院でもらった薬が出てきて、「この薬はまだ使えるのかな?」であったり、「前と同じような症状なので、この薬を飲んでもよいかな?」など思われることはないでしょうか。そのような時、目の前に出てきた薬を使用することは果たして適切なのでしょうか。

 

 

自己判断で薬の再利用はしない!

結論から言いますと、自己判断で薬の再利用は行わず、医療機関に受診することをお勧めします。

 

以前の症状と、現在の症状が全く同じかどうかは分からない

例えば、Aという薬を以前に病院でもらって、それを途中で使用するのを中断し、余っていて家に置いていたとします。

今回、以前と同じような症状が出て、またAを使用すればよいと思うかもしれませんが、今回の症状に対しての薬が、必ずしもAが適切であるとは限りません。

病院で検査をしてみたら、今回は前回と少し症状が違うからBという薬の方が適切であるという可能性もありますし、また同じAを使う場合になっても、前回と違って使用する量を増やした方が良い場合や、減らした方が良いこともあります。それを自己判断で行うのはかなり危険です。OTCであれば話は違いますが、医療用医薬品の場合は、必ず医療機関での医師の診断があり処方される必要があります。

ただ、医療機関へ再度受診して、医師が診断して、「残っているAを使ってもよい。」という話になれば、安心して使っていただけます。

 

薬の物質としての安定性の問題

開封であれば、よほどではない限り、書いてある使用期限までは、薬自体が劣化するということは考えにくいです。(製品によっては使用期限の代わりに、ロット番号が書いているものもあります。この場合は薬局で薬剤師に確認してもらう必要があります。)

ただ、外用薬や吸入薬等は、一度開封したものは、たとえ決められた保管条件で保管されていても、薬が劣化せずにきちんと使用できるかどうかは分かりません。

 

使用期限がそもそも切れている

気づいた時には、そもそも薬自体の使用期限が切れている場合もあります。これは言わずもがなですが、使用はお勧めできません。

使用期限が過ぎたものを使用するとどうなるのかという所ですが、残念ながら、そのようなデータはないのがほとんどです。

 

耐性菌の問題

最後は、抗生剤の場合のお話になりますが、万が一抗生剤が余っていて、使用するとなると、その誤った使い方により、薬が効かなくなる耐性菌が発生してしまう可能性があります。

実はこの耐性菌について、現在、世界中で大きな問題になっており、厚生労働省も注意喚起を促しております。

本来効くはずの薬が、中途半端な誤った使い方によって、効かなくなるという恐ろしいことにこれ以上ならないよう、抗生剤が処方された場合は、必ず指示通りに飲み切るようにしましょう。

 

 

廃棄方法

では、薬を捨てることになった場合、どうしたらよいのでしょうか。 

余っている薬があれば、薬をもらった薬局に持っていったら、薬局が引き取ってくれます。家庭ごみとは違い、薬局では、産業廃棄物の扱いとして捨てることが可能ですので、持って行って下さい。

ただ、余っている分を返すからと言って、返金はしてもらえませんのでご注意ください。

 

 

まとめ

「何かあった時のために薬を取っておいておきたい」等の気持ちは分かりますが、人間の身体の中の状態は日々変わっていきます。前回の症状と現在の症状は必ずしも同じではないということを念頭において、医師の特別な指示がない限りは、薬はその時に使い切ってください。

 

※上記内容は、個々の治療方針や治療指針を促すものではありません。治療については必ず医療機関でよくご相談ください。

 

 ↓ブログランキングに参加していますので、よかったらポチッと押していただけますと幸いです。


薬剤師ランキング