【これだけは抑えておきたい】インフルエンザ治療薬:イナビル
- 基本情報
- インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)を阻害する。
- 単回投与で治療可能な吸入薬である。
- 予防投与も適応あり。
- プロドラッグであり、長時間効果を示す。
- イナビル吸入懸濁用セットもある。
- 症状発現から2日以内に使用を開始する。
- 異常行動について
基本情報
製品名:イナビル
一般名:ラニナビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤/吸入剤
効能・効果:A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防(予防は粉末剤のみ)
インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)を阻害する。
イナビルは、ノイラミニダーゼ(NA)阻害薬と呼ばれます。インフルエンザウイルスの増殖サイクルに必要な酵素であるノイラミニダーゼ(NA)を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑えます。
単回投与で治療可能な吸入薬である。
イナビルもリレンザ同様、吸入薬ですが、単回投与だけで治療可能な薬剤です。
したがって、病院で処方されて、薬局で吸入して帰ることが可能です。小児にも適応がありますが、10歳を境に以下のように分かれています。
・10歳未満の場合、20mg(1本)を単回吸入投与する。
・10歳以上の場合、40mg(2本)を単回吸入投与する。
予防投与も適応あり。
イナビルはタミフルやリレンザ同様、以下のように、予防投与でも適応があります。
成人:40mgを単回吸入投与する。また、20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる。
小児: 10歳未満の場合、20mgを単回吸入投与する。
10歳以上の場合、40mgを単回吸入投与する。また、20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる。
治療に用いる場合と量は変わらないということですね。
プロドラッグであり、長時間効果を示す。
イナビルは、プロドラッグであり、吸入後、ラニナミビル(活性代謝物)に変換され、ウイルスの増殖部位である呼吸器に長時間にわたり貯留し、作用を示します。そのため1回の吸入で治療が可能です。
イナビル吸入懸濁用セットもある。
イナビルは剤形として吸入剤以外に、吸入懸濁用剤も追加で2019年に承認されました。
イナビル吸入剤は、5歳未満の小児や高齢者等には使用困難な場合があり、また、添加剤として乳糖水和物を含有していることから、乳製品に対して過敏症の既往歴がある患者に対しては注意が必要である問題点があり、これらの問題点を改善するために開発されました。
イナビル吸入懸濁用剤は、ネブライザーを用いて吸入します。ネブライザーはジェット式ネブライザーを用います。こちらも吸入粉末剤と同様、単回投与で治療可能です。
症状発現から2日以内に使用を開始する。
イナビルをインフルエンザの治療に用いる場合、インフルエンザの症状が現れてから2日以内に使用を開始します。症状が現れてから、48時間以降に使用しても効果が期待できません。
また、イナビル吸入粉末剤をインフルエンザの予防に用いる場合は、インフルエンザウイルスの感染症の患者に接触後2日以内に使用を開始します。症状が現れてから、48時間以降に使用しても効果が期待できません。ちなみに、予防効果は、服用してから10日間までです。
異常行動について
インフルエンザ治療中の異常行動については、下記の記事に詳しく書いておりますので、ご参照ください。
~参考文献~
・イナビル添付文書
・イナビルインタビューフォーム
※上記内容は記載時点での情報です。情報を使用する際は、最新の添付文書等で常に確認してください。
※上記内容は、個々の治療方針や治療指針を促すものではありません。治療については必ず医療機関でよくご相談ください。
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