甲状腺機能低下症治療薬①:チラーヂン
前回まで2回にわたり、甲状腺機能亢進症とその治療薬についてお話してきました。
今回から2回にわたり、甲状腺機能低下症とその治療薬についてまとめていきます。
甲状腺機能低下症は、甲状腺機能亢進症と逆で、体内で甲状腺ホルモンが低下している状態により、だるくなったり、寒くなるなど、橋本病等の様々な症状が現れる疾患です。
では、まず代表的な薬剤である、チラーヂンについて、以下まとめます。
◆ポイント◆
①T4製剤であり、第一選択薬として用いられることが多い。
②規格が多い薬剤であり、調節が容易である。
③新鮮な心筋梗塞のある患者には禁忌である。
①T4製剤であり、第一選択薬として用いられることが多い。
チラーヂンはT4製剤で、体内でT3製剤に変換されて、基礎代謝を上昇させて、効果を発揮します。半減期が長く、1日1回の製剤であり、安定であることから、甲状腺機能低下症の第一選択薬として用いられることが多い薬剤です。
②規格が多い薬剤であり、調節が容易である。
チラーヂンは、錠剤だけで12.5、25、50、75、100μgとかなり規格が豊富です。通常は、レボチロキシンナトリウムとして成人に25~400μgを1 日1 回経口投与します。年齢や症状により適宜増減しますが、一般には、投与開始量には25~100μg、維持量には100~400μgを投与することが多いです。
ちなみに、錠剤だけでなく、チラーヂンS散0.01%の散剤もあります。
③新鮮な心筋梗塞のある患者には禁忌である。
チラーヂンは元々は体内にある甲状腺ホルモンを補充するので、副作用等は少ないです。ただ、禁忌事項として、基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化するこ とがあるため、新鮮な心筋梗塞のある患者には禁忌事項として設定されています。
同じ理由で狭心症や動脈硬化症等の心血管系の疾患のある患者に対しても慎重投与で使用します。
※上記内容は記載時点での情報です。情報を使用する際は、最新の添付文書等で常に確認してください。